2011-10-16

[読書] 水底フェスタ

水底フェスタ

大好きな作家の一人、辻村深月の新作。
これまでとは少し雰囲気の違う作品のように感じました。
いわゆる深月ワールドが大好きな人にとっては、
なんだかモノ足らなさのある作品かもしれません。


ストーリーとしては、主人公の高校生の広海と
同じ村出身のモデル、織場由貴美との恋愛(もしくは謀略?)を中心に
村の過去の秘密と絡んでいくということで、なかなか興味深い設定です。

村社会の歪み、友人との微妙な関係、家族への思いなどは
やはり深月ワールドだなと思いますが、
これまでに比べると痛々しさはやや少なく、ストーリーの一部という感じで
さらっとしていたかもしれません。

また帯に「一生に一度の恋」とありましたが、そこが肝なのか?というと
それも微妙な感じがしました。
もちろん広海にとっては間違いなくそうなるだろうと思うのですが、
果たしてそれをメインに描かれているのかというとちょっと??です。

なので、小説自体はすんなり読めたのですが、
その世界観にどっぷり浸かるという感じはなかった気がします。
もちろん村という舞台設定になじみが薄いからというのもなくはないでしょうけど。

というわけで、なんだかすべてが中途半端になってしまった感もあるのが
今回の作品なのかもしれません。
ただ、個人的にはベタな深月ワールドも保って欲しいのですが、
ときどきは新境地な作品を出して欲しいなと思っていましたので、
今後の期待値を込めて今回は★4つにします。


「水底フェスタ」
辻村 深月
文藝春秋
★★★★☆(4点)

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